組写真サークル |
4月8日(水)に組写真サークルのオンラインセミナーを開催しました。
写真展を目指すというテーマで小林紀晴先生が、自身の写真展開催を例に挙げて写真展への道すじについてお話していただきました。
最初に小林先生は写真展とは、「ひとつの空間を構成することで強いコンセプトがないと、成り立たないと感じている。その中で更に重要なのは『新たな視点、価値観の提示』になっているかがポイントになっていて、それは宣言と問いかけであり、作品からコミュニケーションが発生するのが理想。」と、お話していただきました。
小林先生は写真展「Cyber Modernity -Shanghai, Chongqing, Bangkok, Ho ChiMinh-」の、コンセプトと制作背景として、20代の頃は独自文化や民族の風習に惹かれていたが、何度も通ううちにそれらが希薄になり、新たな風景が広がってきたことに気づき、マルク・オジェの「非-場所」という本や建築家・磯崎新氏の言葉から影響を受け、LEDの装飾や匿名に満ちた均質化された都市空間を通じて「今ここの欠如」を表現できないかというコンセプトを軸に整理し、撮影したとお話いただきました。タイトルの「Cyber Modernity -Shanghai, Chongqing, Bangkok, Ho ChiMinh-」上海、重慶、バンコク、ホーチミンなどで撮影したが、あえて場所や国籍を特定しないよう全てアルファベット表記にされたそうです。
この写真展は東南アジアの都市景観を撮影した33枚の写真展です。この33枚の作品の都市風景をセミナーの中で紹介していただきました。作品の撮影方法や場所の選定についても、現地の方やネットを活用し事前のリサーチをしっかり行い、撮影に臨まれたそうです。場所を特定できるようなキャプションを意図的に入れなかったことなど、作者からしか聞くことができないお話ばかりでした。
実際に展示するときについても、構成や額の素材、サイズなどの細かい部分までお話いただきました。スライドにサイズが異なる余白を使用した作品をみせていただきながら、余白が与える影響を分かりやすくお話いただき、余白だけで作品の印象が大きく変わることを学びました。

大きな余白は写真に客観性が増す、静かにおとなしく見える、余白が狭くなるにつれ写真に迫力が増していく。余白を決めるのにルールはなく自分の感覚で選び、模造紙を裁断しながらイメージに近づくよう何度も繰り返し選んだと伺い、細部にいたる部分にも目を配ることで写真展が成功に近づく方法なのだと改めて感じました。
小林先生は、「撮影はもちろんだが、選ぶのが大事で、セレクト力が重要かもしれない」とおっしゃられ、今回約700枚から最終的に33枚まで絞り込まれました。セミナー中はアザーカットを拝見しながら、コンセプトを明確にし、セレクトを繰り返し行うことで、新たな価値観を示せている作品として成立してく過程を体感しました。



詳細な写真展のコンセプトを解説していただくことから、空間の組み立て方、そして作家のアザーカットを拝見できる機会はないので、ニッコールクラブでしか味わえない特別な時間になったと思います。
小林先生はこの写真展で伊奈信男賞を受賞されました。「挑戦を続けていたが最後の最後で落ちるパターンが多く今回は運が良かった。賞は狙って取れるものではない」とお話いただき、作家として作品と日々向き合い挑戦を続けられている小林先生、次回の写真展をぜひ拝見したい気持ちになったオンラインセミナーでした。
伊奈信男賞は、ニコンサロンで1年間に開催された全ての作品展の中から最も優れたものに与えられる賞です。
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