
ニッコールクラブ会員展 佐藤 章 「北の森の和毛(にこげ)たち」
会場:ニコンプラザ東京 THE GALLERY
会期:2025年9月23日(火)~2025年10月6日(月)日曜休館
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
北海道を拠点に野生動物の「かわいさ」をテーマに撮影を続け、多くのフォトコンテストで受賞歴を持つ佐藤さん。今回2度目となるTHE GALLERY展示のインタビューをさせていただきました。

佐藤さんの撮影スタイルを教えてください。 |
本業では洋服店を営みながら、週末ごとに動物たちを追いかけています。金曜日の仕事を終えると車を走らせ、車中泊をしながら、釧路から札幌や函館など道内各地へ撮影に出かけます。土日を撮影に費やし、月曜の朝にそのまま店へ戻るという生活を、5年以上続けています。
動物撮影で苦労したことはなんですか? |
動物たちとの信頼関係を築くことです。
野生動物には、人間を「認める」、「認めない」というものがあります。通常彼らは、人間を見ると逃げたり、威嚇したりします。ただ、自分がその環境に置かれたときに「認めてもらう」と、撮らせてくれることがあります。
「認めてもらう」ためには、毎日その動物の元へ通い、自分は何もしない人間だと教えることが重要です。そうして信頼関係を築くことで、目の前で子供に授乳するなど、子育てのシーンを見せてくれることもあります。
作品へのこだわりを教えてください。 |
「かわいい」を主軸に作品作りをしているので、北海道の野生動物たちの愛らしさを東京の人々に伝えることがねらいです。難しい写真というよりも、わかりやすく「かわいさ」が伝わる作品作りにこだわりました。
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写真との出会いを教えてください。 |
きっかけはビジネス塾での体験でした。そこで講師の、取引先にある摩周湖で見た満天の星空に感動した、というエピソードを聞きました。その時私は、ビジネスにつながる話として理解したというよりも、その星空を見てみたいと、カメラに興味を持ちました。最初は星や雲海、風景を中心に撮影していましたが、転機となったのはフクロウとの出会いでした。
正直、動かないし怖いと思っていた動物でした。でも夕暮れの森で1対1で向き合ったとき、神聖な空気に包まれ心を奪われました。
翌年には雛を目にする機会もあり、その可愛らしさに完全に魅了され、動物写真へとのめり込んでいきました。
フォトコンにも多く入賞していると思いますが、その時の気持ちをお聞かせください。 |
写真を始めてからは、ビジネスマン寄りの目線で写真活動をし、SNSでの人気も少しずつ出始めていました。しかし、SNS人気ではなく、写真家としての活動軸を模索するために様々なフォトコンテストに応募していました。
特に第70回ニッコールフォトコンテストのネイチャー部門で特選を頂いた際、自身にとって大きな自信となりました。SNSでの評価とは違い、「写真家として一定の水準に達した」という実感を得られた瞬間でした。
受賞を通じて出会った仲間たちとの交流も、活動を支える大切な要素です。受賞者同期が自然と集まり輪ができ、今でも互いの活動を応援しあっています。写真展やフォトコンテストでの作品発表があると、仲間とのグループラインでどなたかが報告してくれ、おめでとうと皆が声をかけてくれる、そんな関係性が続いています。

ご家族や友人の反応はいかがですか? |
正直、家族や友人はすっかり受賞や展示に慣れてきた様子です。先日もフォトコンテストに入賞した際は「またか」というような反応でした。

次回の目標を教えてください。 |
東京だけでなく大阪などの大きな都市でも、写真集を絡めた写真展を開催したいです。写真集を出版してくださった出版社の方への恩を返す意味でも、多くの方々の目に留まる場を設けたいです。
写真展にチャレンジする方にメッセージがあれば教えてください。 |
色々な写真展会場がありますが、私は東京で写真展を開きたいと思っています。
これまで大小様々な場所で写真展を開催してきましたが、メーカーのギャラリーのような、規模の大きな展示をすることで、多くの方々に作品を見ていただくことができます。また私は、2年前のTHE GALLERY展示を機に様々なお仕事を頂けるようになりました。プロを目指している方にとっては、チャンスが広がる可能性が高いと思います。
