写真展

小川 千夏 写真展「消えゆく肖像」

会場:ニコンプラザ東京 THE GALLERY
会期:2026年3月31日(火)~2026年4月13日(月) 日曜休館

10:30~18:30(最終日は15:00まで)

今回のインタビューでは、小川千夏さんに作品作りのこだわりや、その裏にある苦労、そして写真展に込めたメッセージをお話しいただきました。

今回の写真展のテーマを教えてください。

​今回は絶滅危惧種が重要なテーマになっています。これまでの展示では枚数が限られていましたが、もっと多くの種を見せたいと思いました。地球規模で進行する環境問題を写真という形で提示し、鑑賞者に新たな視点をもたらしたいと考えています。​

写真を始めたきっかけは何ですか?

写真を本格的に始めたきっかけは、SNSで偶然見かけた初心者向けの写真教室でした。それまで参加した講座は機材の説明が中心で、自分がどうすれば上達できるのかが見えにくかったのですが、その講座は「どうすればうまくなるか」を具体的に教えてくれる内容でした。その後、より体系的かつ継続的に学べる環境としてPHOTO HUBに参加し、そこでの経験が現在の作品制作の基盤になっています。
PHOTO HUBで開催されているセミナーは一人の先生に限定されず、複数の先生のセミナーに自由に参加できる点も魅力でした。私はニッコールクラブアドバイザー全員のセミナーに参加しました。先生ごとに視点や得意分野が違うので、とても勉強になりましたし、他の受講者の作品講評を通じて多様な表現に触れられたことも大きな収穫でした。

写真展に向けアドバイスを受けた先生はいますか?

写真展に向けては、ニッコールクラブの先生方から直接アドバイスをいただく機会がありました。ニッコールミーティングでは、シニア・アドバイザーの大西みつぐ先生とハナブサ・リュウ先生に写真展作品の講評をしていただき、「動物を好きな人とそうでない人では選ぶ写真が違う」という指摘を受け、自分の中で何を見せたいのかを改めて考え直すきっかけになりました。アドバイザーの小林紀晴先生からも助言をいただき、テーマやセレクションの精度を高めていきました。

撮影するうえで苦労したことを教えてください。

被写体である動物との関係性を築くことです。動物は思うように動いてくれませんし、必ずしもこちらを向いてくれるわけではありません。だからまず、自分の存在を認識してもらうことが大切だと考えています。餌などで誘導することはせず、あくまで自然な状態の中で撮影します。機嫌が悪いときは無理をせず、いったん離れて時間を置きます。時には1時間以上距離を保ちながら無関心を装うことで、動物の警戒心を解いていくこともあります。そうして築かれた関係性の中で、動物が見せる一瞬の表情を捉えていきます。

使用した機材を教えてください。

撮影を始めた頃はエントリーモデルのD5200を使用し、その後D500へステップアップし、現在はZ9ボディを主軸に撮影しています。特にZ9とNIKKOR Z 400mm f/4.5 VR Sの組み合わせを主軸にしている点が特徴です。
動物は動きが速く、ズームでは対応が間に合わない場面が多かったので、結果的に単焦点の方が自分に合っていると感じました。以前はズームレンズも使っていましたが、実際には望遠端で固定して使うことが多く、単焦点へ移行しました。動物園という環境上、光量が不足する場面も多いため、基本的に絞りは開放で撮影することが多く、浅い被写界深度を活かして被写体を際立たせています。
また、長時間の撮影ではバッテリー性能も重要です。一日中撮影することが多いので、バッテリーの持ちは大きな安心材料になります。

プリントをするうえでこだわった点はなんですか?

バロック絵画のような雰囲気を意識して、光沢を抑えたマットな質感で仕上げました。作品によって質感を変えることで被写体の印象や世界観をコントロールしています。プリント仕様は先生方と相談を重ねながら選定し、PHOTO HUBで培った知識がここでも活かされています。

作品制作でこだわった点はなんですか?

一般的な動物写真とは異なる表現をすることです。かわいい姿を撮るのではなく、同じ生きている存在として肖像画のように撮りたいと思っています。人間のポートレートと同様に、表情・光・構図・背景を丁寧に組み立てることで、被写体の内面に迫りたいと考えています。動物を対象ではなく、対話する存在として捉える視点が作品の核になっています。

撮影期間はどのくらいですか?

​本展の作品は特定の展示を前提に撮影したものではありませんが、気づけば5年から6年ほど撮り続けてきた写真になっていました。PHOTO HUBでの学びと並行しながら動物園というフィールドに通い続けた結果、テーマが徐々に明確になっていきました。​

この写真展をご覧になるかたへ一言お願いします。

SNSでは写真は一瞬で消費されてしまいますが、プリントして並べることでじっくり見てもらえると考えています。展示という場を通じて、作品を見た方が立ち止まり、考えたり感じたりしていただければ嬉しいです。

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