ニッコールクラブ会報誌上で、会員限定のフォトコンテストを開催しています。上位入賞作品をご覧ください。
「春がきた」伊藤邦美(長野)
撮影機種:①②D810・AF-S NIKKOR 28-300mm
④D5・AI AF-S Zoom Nikkor 17-35mm
選評:ニッコールクラブ シニア・アドバイザー ハナブサ・リュウ
諏訪湖畔にある公園の片隅にあるシーソーを主役に、季節を変えて定点観測した組写真。四季を追っていますが、緑や紅葉や雪などの季節感だけで、それぞれのシーソーのバランスの違いにも工夫が施されています。最後の春では満開の木の下で遊んでいる親子がいて、シーソーが見捨てられた存在ではないことを証明しているようで希望と未来を感じさせる物語になっています。
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「御一行様」外石富男(新潟)
撮影機種:D750・AF-S NIKKOR 24-120mm
選評:ニッコールクラブ アドバイザー 上田晃司
森の中で座って休まれているのでしょうか。白い衣装を着ている方々と森の影になっている部分の対比がとても目を引く作品だと感じました。カラーで表現すると森の緑や木々や地面の色も気になり表現が浅くなってしまいそうですが、モノクロにしたことで見事に主題をしっかりと際立たせ、見る人にインパクトを与えていると思います。森と座っている人たちの不思議な雰囲気がとても記憶に残る一枚でした。
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「月下の微睡」蜂谷雅人(東京)
撮影機種:Z7II・NIKKOR Z 70-200mm
選評:ニッコールクラブ シニア・アドバイザー 大西みつぐ
画面下に白鳥の群れが見えます。満月が沈む頃の情景として完璧といえる構図であるのはもちろんですが、個人的にアンセル・アダムスの写真を思い出します。「f 64グループ」のメンバーとしての大型カメラによるモノクロ作品は撮影時の露出に限らず、現像処理も「ゾーンシステム」による細かな設定によるものでした。この作品も出力されたプリント(紙質と再現性)がとても美しく、内容により深みを与える「グラデーション」です。フレームに入れて飾りたくなる一枚。
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「足音」ランド(栃木)
撮影機種:D70・AF-S DX Zoom-Nikkor ED 18-70mm
選評:ニッコールクラブ アドバイザー 秋山華子
背景を広く、人物を小さく配した構図によって、霧が立ち込める静謐な空間の広がりが強調され、一人で歩みを進める人物の姿が印象的に浮かび上がっています。画面全体に漂う青みがかった色調は、冷たさや幻想性を醸し出し、そこに「足音」というタイトルが加わることで、静寂に包まれた境内の砂利を踏み締めるかすかな響きが立ち上がって、作品に詩的な奥行きが加わりました。見る側の心情や記憶と重なり合いながら、静かな余韻を残す作品となっています。
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「漁夫の利」城島里見(静岡)
撮影機種:Z9・NIKKOR Z 400mm
選評:ニッコールクラブ アドバイザー 秋山華子
的確なシャッタースピードの設定によって、大きく羽を広げたオオワシの力強い足や、足元の魚をねらう嘴に適度なブレ効果が生じています。蹴り上げられて舞い上がった雪の動感も相まって、1匹の魚を求めて3羽のワシが揉み合う様子を躍動感豊にとらえています。中央の1羽のみ表情を読み取れ、そのほかは表情が伺えないことで主役が絞り込まれ、一瞬の出来事やストーリーを感じ取ることができました。
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「オオゴマダラ」山元時子(石川)
撮影機種:D7500・AF-S DX ニッコール 18-200mm
選評:ニッコールクラブ アドバイザー 秋山華子
昆虫館での撮影とのことですが、背景に人工物を配さず、ふんわりとしたボケ感を生かして背景をつくり上げたことにより、自然の中で悠々と過ごすオオゴマダラを彷彿とさせています。一筋の花で羽を休めている様子は、風に揺られてなびいている美しいイヤリングのようにも見えて、心惹かれます。機を待ちじっくりと被写体と向き合い、画面の隅々まで配慮がつくされていることで、高い完成度に仕上がりました。
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