写真展

ニッコールクラブ会員展 松山 和照 「田園 」インタビュー

会場:ニコンプラザ東京 THE GALLERY
会期:2025年9月9日(火)~2025年9月22日(月)日曜休館
   10:30~18:30(最終日は15:00まで)

これまで数々の「ねこ写真展」に作品出展をされた松山 和照さんに、個展についてインタビューをさせていただきました。

撮影を通して苦労したことをお聞かせください。

猫がいる場所を探すことです。「猫はどこにでもいる」と思う方は多いと思います。しかし、「この場所のこんな写真が撮りたい」と意図して猫を探そうと思うと、遭遇率はぐっと落ちます。ですので、まずは猫が定住する場所や遭遇率の高いエリアを探すことから始めました。また、農家の敷地内で飼われている猫を撮る際には、必ず飼い主に許可を得て撮影をしました。

地域猫というのはなんですか?

子供が増えすぎないよう避妊手術をし、その印として耳の先端を少しカットし地域で管理している猫のことです。地域猫を題材にする場合は、その世話をしている人々と信頼関係を築く必要があります。撮影を始めた当初は、「なぜ猫を撮るの?」と撮影を断られることもありました。

撮影にはどのくらいの時間を費やしたのですか?

今回の作品は2015年頃から撮り始めたもので、すでに10年近い年月が経っています。
その間、昼間の田園にいる猫、夜の田んぼで活動する猫、さらには田園以外の場所で暮らす猫と、さまざまなテーマに分けて記録を重ねてきました。

撮影するうえでこだわった点を教えてください。

猫が自然体でいる姿を撮っていったことです。「可愛い猫」や「面白い猫」ではなく、あくまで“そこ”で暮らす姿”を自然に写し取ることにこだわりました。カメラと猫が互いを意識する場面もあれば、猫が人間を気にも留めず自然体でいる瞬間もあります。その両方をありのままに残すことで、猫たちの「生活」を表現しました。

現像やプリントをするうえでこだわった点はなんですか?

今回は昼間の写真ですので、コントラストをやや強めにしつつ彩度を抑え、派手さを避けて自然な質感を出すよう工夫しました。
プリンターは顔料系モデルを使用し、用紙は局紙を用い、作品の雰囲気に合った質感を選んでいます。

使用機材について教えてください。

使用カメラはD750、そしてD850フルサイズ機を乗り換えながら使用してきました。作品の多くはD850で撮影しています。レンズは主に AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRとAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VRを使用しました。夕方から夜にかけては1/10秒など、スローシャッターになることもあり、明るいレンズと手ぶれ補正を重視しました。

 写真、猫撮影を始めたきっかけはなんですか?

写真に触れたのは2000年頃です、子どもの誕生をきっかけにコンパクトデジタルカメラを手に入れたことが始まりでそした。その後ニコンの一眼レフに移行し、徐々に本格的に撮影するようになりました。
猫を撮り始めたのは、近くにいたからです(笑)。猫を何気なく撮ったところ、その魅力に惹かれ、続けていくうちに被写体としての面白さを強く感じるようになりました。

写真展にチャレンジする方にメッセージがあれば教えてください。

個展を開くということは、自分の表現を40〜50枚の作品でまとめることです。1枚の“いい写真”を狙うのとは違い、全体を構成する視点で撮影を続けることで、写真の幅や考え方が広がっていきます。だからこそ、最終的には個展を目指して撮り続けることが面白いのだと思います。

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