写真展

林田 弘 写真展「里山の風を浴びる」インタビュー

会場:ニコンプラザ大阪 THE GALLERY
会期:2026年8月28日(金)~2026年9月9日(水)日曜休館
10:30~18:30(最終日は15:00まで)

今回のインタビューでは、林田 弘さんに、里山をテーマに作品を撮り続けてきた思い、モノクロ表現へのこだわり、写真展に挑戦したきっかけ、そして今後の目標についてお話を伺いました。


里山をテーマにした写真表現の狙いをお聞かせください。

里山というと、「美しい」「懐かしい」「心が安らぐ」といったイメージを持たれることが多いと思います。
しかし私は、そうした美しさだけではなく、そこに漂う寂寥感や厳しさ、不安感といったものも含めて表現したいと考えました。単に美しい里山を撮るのではなく、自分が感じた「自分なりの里山」を写真にしたい。そのことを意識しながら撮影を続けてきました。
本格的にこのテーマに取り組み始めたのは退職後です。約8年間にわたって撮り続けてきた作品の中から、今回の写真展を構成しています。


モノクロ表現と後処理で難しかったことはありますか。

モノクロ作品を仕上げるうえで、特に難しかったのは階調表現です。Photoshopを使って仕上げていますが、黒から白までのグラデーションをどのようにつなげ、どのように質感を出していくか。モノクロだからこそ、非常に繊細な調整が必要だと感じました。
撮影するときにも、露出やコントラスト、どこにピントを置くのかなど、いろいろなことを考えています。ただ、すべてを計算して撮影した写真だけが良いわけではありません。あまり考え過ぎずに撮った一枚が、結果的に作品として良かったこともあります。そうした偶然も含めて、最終的に自分が何を選ぶのかということも大切だと思っています。


使用したカメラとレンズについて教えてください。

カメラは主にNikon Z7とD750を使用しました。Z7では「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」と「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」、D750では「AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR」を使っています。
当初は広角レンズを使うことが多かったのですが、広角ばかりで撮っていると、画面が少し平面的になり、作品全体として変化を付けにくいと感じるようになりました。そこで途中から中望遠寄りの焦点距離も意識して使うようになりました。
焦点距離を変えることで、被写体との距離感や画面の構成にも変化が生まれ、結果として作品全体にメリハリを付けることができたと思います。


写真を始められたきっかけと、これまでの歩みを教えてください。

カメラ自体は学生時代から好きでした。父親の影響もあり、記念写真や家族旅行などで写真を撮っていました。ただ、作品として本格的に写真に取り組むようになったのは、60歳、還暦を過ぎてからです。
その後、写真家の先生から指導を受ける機会があり、そこで「一つのテーマを作って撮り続けなさい」と教えていただきました。その影響もあって、これまで雑誌のフォトコンテストや公募などには、あまり積極的に応募してきませんでした。
写真協会の公募で一度佳作をいただいたことはありますが、これからは一枚の写真で評価されるフォトコンテストにも挑戦してみたいと思っています。


THE GALLERYの写真展に挑戦したきっかけを教えてください。

写真を続けていく中で、自分自身について考えたり、自分の写真世界を一つのテーマとして表現したりすることの大切さを感じるようになりました。
先生から「テーマを持って撮る」ということを教えていただいたこともあり、いつか自分の作品を写真展という形で発表したいと思い、THE GALLERYに挑戦しました。
写真展では、単に良い写真を並べればいいわけではありません。「自分は何を伝えたいのか」「なぜこの写真なのか」を考えながら、一つの世界を作り上げていきます。その過程は大変でしたが、とても面白い経験でもありました。


THE GALLERYに合格されたときのお気持ちはいかがでしたか。

THE GALLERYへの応募は今回が2回目でした。合格の知らせをいただいたときは、本当に嬉しかったですね。
ただ、時間が経つにつれて、「本当にこれで大丈夫なのだろうか」という不安も出てきました。そこでニッコールクラブの門倉さんにも相談し、アドバイスをいただきながら写真展の準備を進めてきました。多くの方に支えていただきながら、ここまで来ることができたことに、とても感謝しています。


ご家族やご友人の反応はいかがでしたか。

家族も友人も、とても喜んでくれました。友人からは、「80歳になって、よく合格したな」と言われました(笑)。年齢に関係なく、何かに挑戦することはできると思っています。今回の写真展への挑戦を通して、それを自分自身でも改めて感じることができました。


ニッコールクラブの活動の中で、作品についてどのようなアドバイスを受けましたか。

私は阪神支部に所属しています。4〜5年ほど前のニッコールクラブの支部キャラバンで、小林紀晴先生に30〜40枚ほど作品を見ていただいたことがあります。そのときに内容を評価していただき、さらに「この数枚を核にして作品を構成していくと良い」といったアドバイスをいただきました。
その後のキャラバンでも、ハナブサ・リュウ先生や大西みつぐ先生に作品を見ていただきました。作品そのものについて評価していただく一方で、プリントについての注意点など、具体的なアドバイスもいただきました。そうした先生方からの指導の積み重ねが、今回の写真展につながっていると思います。


今回、写真展を開催して感じたことを教えてください。

写真展というものは、すべてを作家自身が決め、その結果に責任を持つものだと実感しました。何を題材にするのか、どのようなテーマにするのか、何を伝えるのか。そして、どの作品を選び、どのような順番で見せるのか。すべて自分で考えなければなりません。数点の作品を応募する公募とはまた違い、写真展では一つの作品世界全体に対して責任を持つ必要があります。そこが写真展の難しさであり、同時に面白さでもあると思います。

今後の目標を教えてください。

まずは、今回とは違う新しいテーマで、もう一度写真展に挑戦したいと思っています。そして、これまであまり取り組んでこなかったフォトコンテストにも挑戦したいですね。テーマを持って複数の作品で表現する写真展と、一枚の写真の力で勝負するフォトコンテスト。その両方に取り組んでみたいと思っています。

最後に、これから写真展を目指す方へメッセージをお願いします。

写真展は、作家が写真を通して「自分は何を感じ、何を伝えたいのか」を発信する場だと思います。テーマを決め、コンセプトを考え、それに沿って作品を撮り、選び、一つの世界としてまとめていく。その作業は、小説を書くことにも少し似ているのではないでしょうか。一枚一枚の写真を撮るだけでは経験できない、非常に深い学びがあります。
ぜひ多くの方に、自分自身のテーマを持って写真を撮り、それを写真展という形で発表することに挑戦していただきたいと思います。写真展に取り組むことで、写真の世界はさらに深く、面白いものになっていくと思います。

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